友の会通信

発刊に当って
当美術館は、この11月をもって開館3周年を迎えます。その間、国内はもちろんのこと海外からも多数の来館者をお迎えすることができました。この館が開館当初から標榜していた国際的な美術館としてのあり方が、次第に定着しているように思います。

この3年間、私どもが力を注いだのは何より企画展の内容を充実することでした。第1回の「鶏竜山のやきもの」にはじまり、「高麗の水注」「李朝の白磁」「三島の扁壺」「李朝の辰砂」「高麗の梅瓶」と続いた朝鮮陶磁シリーズは、朝鮮陶磁の愛好家や研究者のみならず、ひろく一般の方にも好評を博しました。また、「定窯白磁」「中国陶枕」にひき続き上海博物館所蔵品で構成された「中国歴代陶磁展」の開催も、中国陶磁の関係者のみならず、ひろく大きな関心を呼びました。

美術館の活動は、展示、収集保管、調査研究、普及など多岐の分野にまたがっています。このたび、普及活動の一環としてかねてより待望されていた友の会を発足することができましたことは、誠に喜ばしい限りです。同時に責任の大きさも感じます。限られたスタッフで御満足頂けるような活動を続けることには困難がともなうでしょうが、どうぞ長い目で暖かくお見守り下さい。発刊に当って御挨拶かたがたお願い申し上げる次第です。

1985年9月15日 大阪市立東洋陶磁美術館
館長 伊藤郁太郎
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