主な出品作品

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  多彩釉刻線文鉢

  たさいゆう こくせんもん はち

  9～10世紀
  径：高35.3㎝
  高田早苗氏寄贈
  大阪市立東洋陶磁美術館
  

  淡褐色の胎土に白化粧をして幾何学文を線刻し、鉛釉系の緑釉、褐釉、紫釉、透明釉などをかけて焼成したものです。白化粧の上に鉛釉をかけ分ける手法から、唐三彩や遼三彩との関わりが指摘されています。多彩釉陶はエジプトからミソポタミア、イラン、中央アジアにかけて広い範囲での作例があり、産地によって特徴が異なります。本作品は、胎土の色や胴裾と高台内を深く削った器底部の作りなどから、イラン東部ニーシャープール周辺の産と考えられます。

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  白地多彩鳥文盤

  しろじたさい とりもん ばん

  11～12世紀
  径：28.8 ㎝
  高田早苗氏寄贈
  大阪市立東洋陶磁美術館
  

  赤褐色の胎土に白化粧をし、太い黒線で鳥や花を描き、赤、黄、緑の顔料で彩色をした盤です。黒線には白泥で連珠が加えられます。このような文様構成の鉢類は、イラン北部マーザンダラーン地方のサーリー周辺で出土したという情報から、かつて「サーリー手」と呼ばれていましたが、現地では未だ窯址は確認されていません。一方で東部のゴレスターン地方ゴルガーン遺跡で類品が多数出土しており、産地としての可能性はこちらのほうが高いとされています。本器はこの種のものでもかなり大型の部類に属すものです。大きな嘴と頭頂部の飾りを持つ特徴のある鳥は、サーサーン朝の金属器や織物などに表わされていたゾロアスター教の吉祥の鳥の姿を継承したものと考えられます。

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  青釉押型文字文双耳壺

  せいゆうおしがた もじもん そうじこ

  12～13世紀
  高20.7㎝
  高田早苗氏寄贈
  大阪市立東洋陶磁美術館
  

  ペルシアの陶器生産は、12～13世紀に技術的に大きな変化を遂げ、最盛期を迎えました。その変化の一つに、陶土にガラス質の粉を混ぜて複合陶土とすることにより、従来この地域にはなかった白い土の陶器が生まれたことがあります。本作品はその白い胎に、西アジア特有のアルカリ・ソーダを基本材料とした青釉が美しく発色した双耳壺です。壺の肩には、文様化したアラビア文字と唐草を組み合わせた装飾が浮彫り風に表わされています。把手の上部には鋲を写したと思われる円形の飾りが貼り付けられており、金属器に由来する器形であると考えられます。青釉陶器の産地としては、カーシャーン、レイ、ゴルガーンなどが確認されています。