担当学芸員おすすめ作品解説 №3
「青磁陽刻菊花文輪花形碗」 高麗時代・12世紀 大阪市立東洋陶磁美術館蔵
写真:六田知弘
見込み 釉溜まり
黄蜀葵(おうしょっき)の花びらを捻花(ねじりばな)状にした薄くて小さな碗です。
碗の中央部には釉がたまり深い灰青緑色をたたえ、まるで翡翠のような宝石を思わせる美しい輝きを見せています。
原石のヒスイと比較すると一目瞭然、その再現色に驚かされます。
北宋の徐競が著した『宣和奉使高麗図経』には、「陶器色之青者。麗人謂之翡色。」と書かれ、高麗人はこのような青いやきものの色を翡色と呼んでいたことが分かります。
「翡色」とは、釉薬の色で、宝石の「玉(翡翠)」の美しさにたとえられていたのでした。
例えば、高麗の文人・李奎報が詠んだ「緑甆硯滴子」や「緑甆枕」の詩には、緑甆(緑色の磁器)の硯滴子(水滴)と枕を愛でる様子が描かれていますが、その肌触りはまるで「玉肌」のようになめらかであると言います。
つまり、翡色は、当時の高麗青磁の美しい色彩の総称と捉えることができます。
宋代の文人もまた高麗翡色を「天下第一」と絶賛しました。
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