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「青磁鉄地象嵌詩銘瓶」 高麗時代・13世紀 H:30.0 大阪市立東洋陶磁美術館蔵
青磁鉄地象嵌詩銘瓶 反対面
高麗時代・13世紀
H:30.0 大阪市立東洋陶磁美術館蔵 写真:六田知弘
茶褐色を帯びていますが、青磁釉をかけて焼いた青磁の一種です。円筒形の胴面には、飲酒を詠んだ文が二行ずつ刻まれています。「酒は温めれば毒が消え、茶は冷めれば香りを失う。この酒を飲まずにいられようか、佳人と才子のつかの間の逢瀬(おうせ)に」。この詩文から、高麗時代の酒は温めて飲んでいたことが分かります。また冷めれば香を失うのはお茶だけでなく、佳人(美しい女性)と才子(才能ある男性)の思いもまた同じでしょう。この一文は、いまのこの刹那にこそ身を任せよ、と訴えています。この瓶の持ち主は、はたしてそのようにできたでしょうか。それとも、この瓶を抱えて、わずかに酒で自分を慰めていたのでしょうか。いろいろと想像がふくらみます。
(担当学芸員 鄭銀珍)
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