国際交流企画展
「定窯・優雅なる白の世界 ―窯址発掘成果展」

概要

定窯(ていよう)は河北省保定市曲陽県に位置する中国の著名な白磁窯であり、宋代五大名窯の一つにも挙げられています。なかでも宋代から金代にかけては宮廷用器も数多く生産され、「牙白」と呼ばれる象牙のような白色(アイボリーホワイト)を特色とする優雅な定窯白磁は、皇帝はじめ士大夫などにも広く愛好されました。
2009年9月から2010年1月にかけて、河北省文物研究所は北京大学考古文博学院などと共同で定窯窯址の本格的な考古発掘を実施し、定窯の分期・編年研究や焼造技術の変遷など定窯に関する多くの問題を解明する上での重要な発見と成果を得ました。この発掘は2009年の中国十大考古新発見の一つにも選ばれており、中国陶磁史上の重大発見として国内外から注目を集めました。
本展ではこの定窯窯址の出土品66点を日本で初めて紹介します。窯址出土の破片を通して、優雅なる定窯白磁の発展の歴史とその美の秘密に迫ります。




開催要項

名称:
国際交流企画展:
「定窯・優雅なる白の世界 ―窯址発掘成果展」
会期:
平成25年11月23日(土・祝)~平成26年3月23日(日)
会場:
大阪市立東洋陶磁美術館
大阪市北区中之島1-1-26 (大阪市中央公会堂東側)
・京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ
・地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」、
地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜」各駅から約400m
休館日:
月曜日(12/23、1/13は開館)、12/14(土)、1/14(火)、12/28(土)~平成26年1/4(土)
開館時間:
午前9時30分~午後5時

※「OSAKA光のルネサンス2013」期間〔12/15(日)~12/25(水)〕は午後7時まで

※入館は閉館の30分前まで

主催:
大阪市立東洋陶磁美術館、河北省文物研究所、河北省博物館
企画協力:
株式会社アサヒワールド
観覧料:
一般800円(640円)、高大生480円(400円)
※( )内は20人以上の団体料金
※身体障がい者手帳等お持ちの方(介護者1名を含む)、ツルのマーク 付健康手帳、 大阪市敬老優待乗車証等をお持ちの方、中学生以下は無料
展示点数:
66点
同時開催:
【特集展】
「人間国宝 塚本快示―定窯白磁の美を追い求めて」
【平常展】
安宅コレクション中国陶磁・韓国陶磁、
李秉昌コレクション韓国陶磁、
日本陶磁、沖正一郎コレクション鼻煙壺
問い合せ:
大阪市立東洋陶磁美術館
TEL.06-6223-0055  FAX.06-6223-0057


■ポスター
■チラシ
 
■出品リスト
 

主な出品作品

白磁刻花童子唐草文方形双耳盒
(はくじこっか どうじからくさもん ほうけいそうじごう)
北宋時代(960-1127)初期
定窯窯址(澗磁嶺B区)出土
高:11.4cm 口径:9.0×14.4cm

河北省文物研究所蔵



長方形の耳付の盒で、本来は蓋を伴っていたものです。ずっしりと重みがあります。胴体の4面のうち、長細い面には菱形の窓を作り、その中に、童子が右手に鳥を持ち、たわむれている様子が表されています。その周囲には花文が散らされ、さらに余白には唐草文が施されています。釉色は典型的な北宋時期のもので、黄味がかった潤いのある光沢を見せています。定窯白磁では初めて見る器形であり、愛らしい文様や美しい釉色など北宋初期の定窯白磁の新たな一面を知ることができる貴重な作例です。

白磁仏像
(はくじ ぶつぞう)
北宋時代(960-1127)中期
定窯窯址(澗磁嶺A区)出土
高:5.5cm 幅:4.5cm

河北省文物研究所蔵



白磁製の仏像頭部の破片です。型(かた)によりつくられたもので、顔立ちがはっきりと整っており、小さいながらも存在感があります。定窯窯址からはこれまで羅漢像や比較的大型の仏教造像と考えられる破片なども出土しており、定窯では仏教寺院用の造像類も白磁で生産されていたことがうかがえます。北宋の定州は仏教が盛んで、寺院や関連の遺跡などからは仏像片や仏教関連の器物などが多数出土しており、定窯と仏教寺院との深い関係がうかがえます。

白磁刻花龍文"東宮"銘輪花盤
(はくじこっか りゅうもんとうぐうめい りんかばん)
金時代(1115‐1234)後期
定窯窯址(澗磁嶺A区)出土
高:5.6cm 径:24.6cm

河北省文物研究所蔵



口縁部に6カ所切り込みを入れて輪花形にした大ぶりの盤です。見込みには流麗な刻花により団龍文と宝珠文が大きく表されており、龍の髭や体毛の表現には櫛目文も見られます。龍は三爪で、その表情はどこかユーモラスな親しみやすさを感じさせます。白磁の釉色はやや黄味がかかった牙白色で、光沢と潤いがあります。高台内の釉下に「東宮」銘の線刻が見られることから、金王朝の宮廷向けの製品であったと考えられます。金時代は定窯の生産規模が最大となった繁栄期であったことが窯址の発掘から明らかになり、金王朝や南の南宋王朝では宮殿などで定窯白磁が好んで用いられていたことがわかっています。