特別展「浅川巧(たくみ)生誕百二十年記念 浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の心と眼-朝鮮時代の美-」

概要

新しい美の発見。それまで見向きもされなかった“李朝”-朝鮮時代の陶磁器や工芸品が、1920年代以降、一躍注目を浴び、多くの陶芸家、研究者、愛陶家の眼を見開かせました。その過程で先駆者的な大きな役割を果たしたのが、浅川伯教(1884~1964)・巧(1891~1931)の兄弟でした。
植民地期(1910~45)の初期に朝鮮半島へ渡った二人は、朝鮮家屋に居をかまえ、現地の人々に溶けこみながら暮らします。そして伯教はやがて朝鮮陶磁研究の第一人者となり、また弟の巧も、陶磁器および朝鮮の木工品について名著を残しました。一方で兄弟は柳宗悦(1889~1961)に大きな影響をあたえ、柳の朝鮮美術工芸への案内役となります。そこに富本憲吉、河井寬次郎、濱田庄司らが加わり、後の「民藝」誕生へとつながりました。
戦後、浅川兄弟の名はほとんど忘れられたままでした。本展は、浅川兄弟や柳宗悦が選び抜いた旧朝鮮民族美術館のコレクションをはじめ、ご遺族からの寄贈品、伯教作の絵画資料や陶芸作品、柳自筆の原稿など約200点を通して、近年再評価の気運が高まる浅川兄弟の事跡を、はじめて体系的に紹介するものです。朝鮮の文化や芸術を心から愛し、研究し、優れた鑑賞眼をつちかった浅川兄弟の真価を問う、大きな契機となることでしょう。

 

開催要項

名称:
特別展「浅川巧(たくみ)生誕百二十年記念 浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の心と眼-朝鮮時代の美-」
会期:
平成23年4月9日(土)~7月24日(日)
開館時間:
午前9時30分~午後5時
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:
月曜日(5月2日、7月18日は開館)、7月19日(火)
会場:
大阪市立東洋陶磁美術館
大阪市北区中之島1-1-26 (大阪市中央公会堂東側)
・京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ
・地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」、
地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜」各駅から約400m
主催:
大阪市立東洋陶磁美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会
料金:
一般1000円(800円)、高大生600円(500円)

※( )内は20人以上の団体料金
※身体障害者手帳、ツルのマーク付健康手帳、大阪市敬老優待乗車証などを お持ちの方、中学生以下は観覧料が無料になります。

展示点数:
約200点
同時開催:
■特集展
「李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション韓国陶磁」
■平常展
安宅コレクション中国陶磁・韓国陶磁、日本陶磁
■沖正一郎コレクション鼻煙壺
問い合せ:
大阪市立東洋陶磁美術館
TEL.06-6223-0055  FAX.06-6223-0057

■チラシ
■割引券

主な出品作品

青花辰砂蓮花文壺
(せいかしんしゃ れんかもん つぼ)
京畿道広州官窯(分院里窯)
朝鮮時代・18世紀後半

高さ:44.3cm 径:34.5cm
大阪市立東洋陶磁美術館
Acc.No.21128(安宅英一氏寄贈)

浅川伯教旧蔵品の代表ともいえる作品で、日本にある韓国陶磁の名品の一つです。京畿道広州分院里窯の製品で、木箱の蓋には伯教による「英祖前期大殿用瓶 伯」という箱書きとスケッチが見られます

青花辰砂蓮花文壺

辰砂蓮花文面取瓶
(しんしゃ れんかもん めんとりへい)
朝鮮時代・18世紀

高さ:36.0cm 径:22.2cm
大和文華館

その大きさのみならず、堂々と膨らんだ胴のはり、端正な面取、力強い蓮の表現、発色の良い辰砂など、朝鮮時代の辰砂の名品として名高い作品です。窯はまだ発見されていません。

辰砂蓮花文面取瓶

「朝鮮陶磁写生図」
浅川伯教筆 紙本墨画

幅:42.0cm×57.5cm
大阪市立東洋陶磁美術館
Acc.No.52642(鈴木正男氏寄贈)

伯教は、朝鮮時代(1392~1910)の陶磁器をはじめて四期に区分し、とくに「彫三島(粉青沙器)」を朝鮮王朝初期に位置づけたことは、学界における朝鮮陶磁研究の出発点となりました。本図は、右上奥から順に各時期の代表的な壺を図解したものです。

朝鮮陶磁写生図

なお、本展覧会は以下の美術館に巡回致します。
平成23年8月9日(火)~10月2日(日)千葉市美術館
平成23年11月19日(土)~12月25日(日)山梨県立美術館
平成24年1月14日(土)~3月20日(火)栃木県立美術館