【TOPICS】作品解説/見立漆器 油滴天目(みたてしっき ゆてきてんもく)(特集展「現代の天目―伝統と創造」)
2020.08.01

開催中の特集展「現代の天目―伝統と創造」出品作品紹介いたします。

25 若宮隆志 (2)

見立漆器 油滴天目(みたてしっき ゆてきてんもく)

彦十蒔絵・若宮隆志(1964~)/ 2020年

h:7.5cm、d12.1:cm、bd:4.2cm 78g

個人蔵

当館の国宝「油滴天目」を漆器で再現した作品です。「見立漆器」の名が付けられています。「見立(見立て)」とは、あるものを別の似たものでなぞらえることで、江戸時代の芸術や芸能、文学などで盛んに行われた趣向でもありました。彦十蒔絵の若宮隆志氏は漆芸技法を用いて天目などの陶磁器や青銅器など異なる材質の「見立」に果敢に取り組んでいます。本作では、軽くて丈夫な欅(けやき)の木地を「天目形」に成形してから、漆を塗り、色漆や蒔絵の技法を駆使して、油滴の斑文や釉薬の質感から微妙な光彩の色合い、そして底部の胎土の質感まで見事になぞらえています。口縁部の金覆輪も漆と金粉によるものです。実際、手にとると驚くほど軽く、漆器であることが体感でき、喫茶碗として実用にも十分に耐えるものです。外観は油滴天目ですが、手に撮った瞬間の驚きこそ、「見立漆器」の真髄です。なお、内面にはハート状の斑文をまぎれ込ませているのも作者の遊び心といえます。「ハート斑文」を見つけられた方にはさらなる幸運が訪れるかもしれません。ぜひ探してみてください。

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見立漆器 油滴天目 制作風景(動画)

mq1

 

https://youtu.be/vR1Xwv-qLKo

 

 

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