〈TOPICS〉担当学芸員おすすめの作品解説№2(特別展「高麗青磁―ヒスイのきらめき」)
2018.09.26

担当学芸員おすすめの作品解説

「青磁鉄地象嵌詩銘瓶」 高麗時代・13世紀  H:30.0 大阪市立東洋陶磁美術館蔵

 

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青磁鉄地象嵌詩銘瓶                                                                            反対面

高麗時代・13世紀

H:30.0 大阪市立東洋陶磁美術館蔵  写真:六田知弘

茶褐色を帯びていますが、青磁釉をかけて焼いた青磁の一種です。円筒形の胴面には、飲酒を詠んだ文が二行ずつ刻まれています。「酒は温めれば毒が消え、茶は冷めれば香りを失う。この酒を飲まずにいられようか、佳人と才子のつかの間の逢瀬(おうせ)に」。この詩文から、高麗時代の酒は温めて飲んでいたことが分かります。また冷めれば香を失うのはお茶だけでなく、佳人(美しい女性)と才子(才能ある男性)の思いもまた同じでしょう。この一文は、いまのこの刹那にこそ身を任せよ、と訴えています。この瓶の持ち主は、はたしてそのようにできたでしょうか。それとも、この瓶を抱えて、わずかに酒で自分を慰めていたのでしょうか。いろいろと想像がふくらみます。

(担当学芸員 鄭銀珍)

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