貸出中の作品(「染付柳鳥文皿」)について
2018.07.01

平成29年7月に台湾故宮博物院南部院区(以下、南部院区)で破損した大阪市立東洋陶磁美術館館蔵品「染付柳鳥文皿(そめつけやなぎとりもんさら)」の修復が無事完了し、南部院区において平成30年6月28日(木)から12月28日(金)まで、「円満―『染付柳鳥文皿』修復成果特展」として再展示されることになりました。

展示室では修復経過の記録映像の放映や、科学分析の結果及び参考資料の展示も行います。

また、今回の展示に併せて、6月28日(木)には南部院区において「伊万里瓷器の研究と科学分析・修復に関する研究会」が開催されました。

これは今回の作品破損をきっかけとした台湾故宮博物院と当館の相互協力に関する覚書の調印以降、両館の共同研究の幕開けとして、科学分析や修復などを含めた多角的な研究の成果を示すもので、極めて貴重な意義を有しています。

今後、両館は共同研究の成果を、これからの教育普及をはじめとした様々な活動に活用できるものと期待しています。

 

1.破損した館蔵品

•染付柳鳥紋皿(そめつけやなぎとりもんさら) 1皿
•生産地:佐賀県西松浦郡有田町(伊万里焼)
•時期:江戸時代(1660~1670年代)
•サイズ:高さ7.9センチメートル、口径37.0センチメートル

作品画像(撮影 三好和義)

 

2.経過

破損した館蔵品は平成27年12月から平成30年12月までの予定で、南部院区での展示のために当館から貸出を行っていました。

•平成29年7月18日(火)14時頃(日本時間)

南部院区から当館に館蔵品が破損したとの連絡が入りました。

•7月19日(水)16時頃(日本時間)

当館の主任学芸員が現地に到着し、破損状況の確認を行いました。

•8月18日(金)

当館館長と主任学芸員が現地で破損状況を確認しながら、台湾故宮博物院の院長や担当者らと今後の修復作業の進め方等について双方で合意しました。その結果、台湾故宮博物院において科学分析を行うとともに、日本の伝統的な「金継ぎ(きんつぎ)」の技術で修復することになりました。

•8月21日(月)

再び台湾故宮博物院において、同院の院長と当館館長が今後の展覧会、研究、教育推進における協力関係を強化し、友好関係を深めるための覚書に調印しました。

•平成30年1月9日(火)~11日(木)

当館の主任学芸員が台湾故宮博物院において破損した作品の科学分析の立ち会いを行いました。

•5月21日(月)及び22日(火)

当館の学芸課長代理が台湾故宮博物院において破損した作品の修復作業の立ち会いを行いました。

•6月25日(月)

台湾故宮博物院において当館館長及び学芸課長代理が破損した館蔵品の修復完了及び再展示の発表セレモニーに出席しました。

 

3.写真

修復前(破損状況)

修復前(破損状況)

 

修復の様子

修復の様子

 

修復後の様子(表)

修復後(正面)

 

修復後の様子(裏)

修復後(裏面)

 

 

 

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