テーマ展「鈴木正男氏寄贈―浅川伯教が愛した韓国のやきもの」
概要
浅川伯教(1884-1964)は、弟の巧とともに韓国陶磁研究の先駆者となった人物です。明治17年(1884)に山梨県に生まれた伯教は、大正2年(1913)から昭和21年(1946)までを朝鮮半島で暮らし、骨とう品店で見かけた朝鮮時代の白磁壺に魅入られたことをきっかけとして韓国のやきものの研究に没頭しはじめます。このことは、伯教と民藝運動の推進者となった柳宗悦(1889-1961)との出会いへつながり、柳が韓国陶磁に目覚める端緒ともなっていきました。
本展では、伯教の女婿である鈴木正男氏の寄贈品を中心として、浅川伯教が手元に置いた韓国のやきものや自作の絵画など、約40点を館蔵品の中から展示します。韓国陶磁研究者であり、彫刻家、画家でもあった伯教の様々な活動の側面を、作品を通じて紹介します。
開催要項
- 名称:
- テーマ展「鈴木正男氏寄贈-浅川伯教が愛した韓国のやきもの」
- 会期:
- 平成21年4月4日(土)~7月20日(月・祝)
- 開館時間:
- 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
- 休館日:
- 月曜日(ただし5/4、7/20を除く)、5/7(木)
- 主催:
- 大阪市立東洋陶磁美術館
- 料金:
- 一般 500円(400円)/高校・大学生 300円(250円)
※( )内は20人以上の団体料金
※身体障害者手帳、ツルのマーク付健康手帳、大阪市敬老優待乗車証などを
お持ちの方、中学生以下は観覧料が無料になります。
- 展示点数:
- 約40点
- 同時開催:
- 特集展「文人コレクターの眼差し-白檮廬コレクション中国陶磁」
平常展 安宅コレクション中国・韓国陶磁、李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション韓国陶磁、日本陶磁、沖正一郎コレクション鼻煙壺
- 問い合せ:
- 大阪市立東洋陶磁美術館
TEL.06-6223-0055 FAX.06-6223-0057
URL:http://www.moco.or.jp
主な出品作品
白磁壺
はくじ つぼ
朝鮮時代(17世紀後半~18世紀前半)
h:47.6cm w:47.0cm
Acc.No.22464(鈴木正男氏寄贈)
「李朝の白磁は大理石の様に透明な陰を持って居る。はち切れそうに内から壓(お)し出した曲線は気持ちよく光を辷(すべ)らす。これは全く彫刻の効果だ」(浅川伯教「壺」『白樺』1922年より)。
17世紀後半から18世紀前半の官窯では、大型の白磁壺が好んで作られました。しかし、本例のような端反口をなす壺の類例は多くはありません。胴径と器高がほぼ一対一の均衡をとり、堂々とした造形は韓国で満月壺と呼ばれて珍重されています。胴継成形によるシルエットの変化を人間の胴体と見なした浅川伯教は、白磁壺に単なるやきものよりも抽象的な彫刻を感じていたようです。

刷毛目茶碗「新両国」
はけめ ちゃわん
朝鮮時代(15世紀後半~16世紀)
h:7.8cm d:13.5 cm
Acc.No.22469(鈴木正男氏寄贈)
浅川伯教旧蔵の名碗の一つです。粗い黄土を用い、チョコレート色に発色する肌の色や力強い刷毛目跡は、小さく引き締まった高台作りとともに鶏龍山窯の特徴です。鶏龍山は、忠清南道公州の鶏龍山というところで焼かれたことにその名称の由来があります。近代茶人として有名な阪急電鉄の創始者、小林一三(こばやしいちぞう)(1873~1957)の箱書があり、「新両国 愛蔵(する)所 逸翁(いつおう)」と書かれています。

窯跡地図(分院里周辺)
かまあとちず ぶんいんりしゅうへん
紙本墨画淡彩
61.0×41.8cm
Acc.No. 52644(鈴木正男氏寄贈)
広州は朝鮮王朝の官窯が置かれた地であり、韓国陶磁研究の要となる場所です。伯教が著わした『李朝の陶磁』(座右寶行会、1956年)には、「広州郡の窯址地図」という項が設けられており、そこにはこの地が豊かな山野に恵まれ水運に適していることが、約450年もの長期間官窯として機能した理由として述べられています。
本作品は伯教の手によって広州官窯(分院里周辺)の主要な窯跡が描かれたもので、韓国における伝統的な手すきの紙が用いられています。明るい色彩と大らかな線によって描かれた山や川の表現と丸で示された窯跡は、広州の地理的特徴を的確に示しながらも、絵画的な魅力を放っています。
