「将軍家への献上 鍋島(なべしま)− 日本磁器の最高峰 − 」
概要
佐賀・鍋島藩の御用窯(ごようがま)で、有田の民窯(みんよう)から最高の技術者を集め、技術の漏出(ろうしゅつ)を厳しく制限する管理のもと、採算を度外視して焼かれた「鍋島(なべしま)」。美しく、かつ斬新で高度に洗練されたデザインは、“日本磁器の最高峰”の名にふさわしいと言えます。
従来の鍋島展では、陶工および鍋島藩側の事情にもとづく視点を重視した変遷が紹介されてきましたが、本展は、鍋島焼は将軍家献上を主目的としたため、幕藩体制の絶対権力者・徳川将軍家の動きに敏感に反応して変遷を遂げた、という新たな視点から藩窯(はんよう)の歴史をたどるものです。
鍋島焼は、三代将軍徳川家光(とくがわいえみつ)の時に、中国磁器に代わる献上磁器として肥前(ひぜん)・有田の岩谷川内(いわやがわち)藩窯で誕生しました。この有田時代のあと伊万里市大川内(おおかわち)に藩窯は移転し、初期鍋島がつくられます。五代将軍綱吉(つなよし)の元禄(げんろく)時代に隆盛期を迎え、幕府財政建て直しを図った八代将軍吉宗(よしむね)の時に隆盛期は終わりますが、その後、十代将軍家治(いえはる)の田沼意次(たぬまおきつぐ)時代に新しい鍋島様式ができあがりました。
こうした江戸の徳川将軍家を頂点とした政治・経済情勢下での、鍋島焼の陶工および鍋島藩の動きによる鍋島焼の変遷という視点から、各時代に日本で最高峰の磁器をつくり出した鍋島焼の全貌を、最新の研究成果をもとに紹介いたします。
本展では、重文・染付鷺文三足大皿(そめつけさぎもんみつあしおおざら)(佐賀県立九州陶磁文化館蔵)や重文・色絵桃文大皿(いろえもももんおおざら)(MOA美術館蔵)などの伝世の名品を中心に約230点を展示し、日本磁器の最高峰である鍋島焼の魅力にせまります。
開催要項
- 展示点数:
- 約230点
- 開催期間:
- 平成19年2月10日(土)〜3月25日(日)
- 同時開催:
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常設展「東洋陶磁の展開」
(安宅コレクション中国・韓国陶磁、李秉昌コレクション、日本陶磁約50点)
主な出品作品
重文・染付鷺文三足大皿
そめつけさぎもんみつあしおおざら
1690-1710年代
径28.0㎝
佐賀県立九州陶磁文化館蔵
内面に三羽の鷺と蓮の葉が描かれた三足付きの大皿です。文様は、線描きと塗りつぶしの技法だけで表現されていますが、藍色の濃淡と鷺の体の白地部分とがみごとな対比を示しています。外側には折枝花文(せっしかもん)が三箇所に描かれています。
重文・色絵桃文大皿
いろえもももんおおざら
1690-1730年代
径31.7㎝
MOA美術館蔵
前方に桃の実を大きく三つ、後方に満開の花をつけた桃樹を配した斬新な構図の大皿です。左右の桃の実は、一度染付で淡く塗りつぶした後、点描の技法で赤みを加えるという、他に例のない表現となっています。高台(こうだい)には七宝繋(しっぽうつなぎ)文、外側には三箇所に牡丹折枝(ぼたんせっし)文が描かれています。
色絵組紐文皿
いろえくみひももんさら
1690-1720年代
径20.3㎝
東洋陶磁美術館蔵
大きな房をもつ赤、青各二本の組紐を円形の画面の中に絶妙のバランスで配した中サイズの皿です。紐や房の細部を精緻な線描きで表した後に、全面をむらなく塗りつぶしています。高台には櫛歯文(くしばもん)、外側には三箇所に花唐草文(はなからくさもん)が描かれています。
